オンライン家庭教師の市場規模とは?今後の将来性についても考察

新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)が蔓延した2020年以降、ZoomなどのWeb会議システムが社会に浸透した結果、オンライン家庭教師のサービスも増えました。

生徒さんが自宅で受講できるオンライン家庭教師は、効率よく学習できる点や、リアルの家庭教師に比べコストが安価な点などがメリットです。

一方、家庭教師を職業やバイトにしようとする方にとっても、自宅から業務ができることは大きなメリットだといえます。

しかし、オンライン家庭教師の市場規模がどの程度あるのか、また今後の将来性について不安を持つ方がいることも事実でしょう。

そこで今回は、オンライン家庭教師の市場規模や今後の将来性などについて解説します。

オンライン家庭教師の市場規模と将来性

近年、オンライン家庭教師の市場規模は、大きく成長しました。

どの程度の市場規模があるのか、海外と日本、それぞれについて確認しておきましょう。

海外におけるオンライン家庭教師の市場規模と将来性

アメリカの調査会社であるREPORTOCEANが2021年5月に発表したレポートによると、海外におけるオンライン家庭教師の市場規模は、2019年で約48億1,000万米ドルだそうです。

また、同市場は2027年までに16.1%以上の成長が見込まれるといわれています。

オンライン家庭教師サービスの市場は、政府によるデジタル教育の励行や大手企業による投資の増加などの影響によって伸長傾向です。

また、オンライン家庭教師の事業を展開するスタートアップの中には、多額の資金調達に成功した事例もあります。

ただしオンラインということで、プライバシーやセキュリティ面が不安視されており、同市場の成長を抑制する一因になっていることも事実です。

日本におけるオンライン家庭教師の市場規模と将来性

矢野経済研究所が2021年に発表した「eラーニング市場に関する調査を実施(2021年)」によると、2021年の国内における個人向けe-ラーニングサービスの市場規模は約2,175億円ということで、前年比の約6.9%という成長率だそうです。

同市場はコロナが蔓延した2020年に大きく成長しましたが、それ以前も右肩上がりでした。

オンラインによる学びが一般化し生徒さんの需要が増えたことで、日本におけるオンライン家庭教師の市場も今後成長していくものと予想されます。

オンライン家庭教師の市場が伸びている3つの理由

オンライン家庭教師の市場が伸びている背景には、大きく3つの理由があります。

それぞれの内容について解説します。

理由1.新型コロナウイルスの影響

オンライン家庭教師の市場が大きく成長したきっかけは、間違いなくコロナによって教育のオンライン化が浸透したことでしょう。

これまでも潜在的なニーズはあったものの、集団講義の実施が困難な状況になったことで、一気に広がりました。

それまで課題だったネット環境や専用デバイスの準備も、コロナ禍にほぼ解消され、サービスを受けやすい土壌ができたことも大きいでしょう。

理由2.個別指導ニーズの高まり

我が国の少子化と並行して、生徒さんの価値観の多様化が進みました。

その結果、以前のような塾や予備校に通って、皆で同じ授業を受ける集団講義では、ニーズが満たせなくなってきている状況です。

そのため、教育の現場では、生徒さん一人ひとりに最適化した内容で実施できる個別指導のニーズが高まっています。

個別指導が行える家庭教師は、生徒さんが不得意な科目や分からない問題だけに特化した講義を行えるなど、フルオーダーでの実施が可能です。

したがって、気軽に受講できるオンライン家庭教師へのニーズが高まるのは必然といえるでしょう。

理由3.家庭教師のメリット+αのメリットが得られる

オンライン家庭教師は、個別指導やフルオーダーの講義といった従前の家庭教師のメリットが得られるだけでなく、それ以外のメリットもあります。

オンライン家庭教師は講師が自宅に来なくても講義ができるので、部屋を片付ける手間や、お客さんを招くことによる精神的な負担を抑制することが可能です。

また、講師の交通費や移動時間もカットされるため、通常の家庭教師に比べて費用が安価に抑えられる点や、スケジュールの調整がしやすい点もメリットだといえます。

オンライン家庭教師市場の成長に伴い講師の需要も高まる

今後は家庭教師だけでなく、さまざまなサービスがオンライン化していくことが予想されます。

市場のITリテラシーも向上し、オンライン家庭教師を受ける生徒さんも増えていくことでしょう。

また、それに伴いオンライン家庭教師の講師の需要も高まっていくと思われます。

そのため、今後家庭教師を生業にする方は、リアルだけでなくオンラインにも対応できることが必須です。

今後の講師には両方のスタイルの家庭教師のメリットを活かしながら、生徒さんの学力を効率よく上げられるスキルが求められることでしょう。